【読書記録】遠藤周作で読むイエスと十二人の弟子

 自身も敬虔なキリスト教徒である作家、遠藤周作氏の著作「イエスの生涯」「キリストの誕生」を基に、イエスとその弟子たちについて紹介する、入門書的一冊。

 

 十字架に磔にされたイエスの周りには弟子や信者たちが大勢いて、その中で息を引き取ったものと思っていたが、それが大きな誤りであることを知った。エルサレムに入城する際伴なっていた十二人の弟子は誰一人師の最期の瞬間に立ち会わず、自身が捕まらないように身を潜めていたという。

 「十二人の弟子」について、「裏切り者」イスカリオテのユダ以外は、『聖☆おにいさん』にでてくる数人しか知らない(しかもマンガ内のイメージだけ)という状況ではあるが、それでも漠然と、イエスに付き従い、全幅の信頼を寄せ、最後まで寄り添っていた人たちだと思っていた。全然違った。

 そう考えると、『聖☆おにいさん』のイエスとその弟子たちの関係と、ブッダとその弟子たちのそれの違いは史実(?)に基づくものなのだと思った。

 

 本書では、冒頭にイエスの生涯について、続いて十二人の弟子たちそれぞれについて、絵画や彫刻などの図版を多用しながら解説される。ほとんどの弟子は、布教先で殉教しているが、それぞれに違った形で処刑されておりいずれも凄惨。。。皮はぎとか。キリスト教の聖人の最期は全部痛そう。

 この本を読む前と後で、ユダのイメージがガラッとかわった。特に「イエスの生前、彼の真意を理解していたのはユダだけだった」という記述。また、彼がイエスの処刑後、自ら命を絶っていることも初めて知った。

 

 

最後に

表紙に12人の弟子たちの顔があるけど、マタイはカラヴァッジョの「聖マタイの召命」からひかれていた。

一番左端のうつむいた青年ではなく、指をさしている壮年の男性のほう。

私は、うつむいた青年がマタイじゃないかと思っているので、この選択はちょっと納得しかねるぞ。笑